アートセラピーとは
- アートセラピーとは、アート表現を通しその創造的なプロセスが心の癒しとともに 豊かで充実した生き方を促進するという考えに 基付いています。
- 作品の結果ではなくアートの創作過程を大切に、心身の癒しそして自己の世界の発見や新たな意味を見出していきます。
- アートセラピーの利点として、創作作業を通したストレスホルモンの軽減によるストレス解消、作ることに没頭する集中力の向上、自己表現を育てるコミュニケーションの促進などがあげられます。また、作品作りが脳機能の向上につながり、同時に作品観察においても、新たな発想や神経回路の形成にもつながることが分かってきました。
アートセラピーの目的
アート制作の過程を通して自己発見や自己の受け入れをうながすことを目的とします。
- 言葉ではなかなか表現できない心の内を形にする、感情表現の視覚化を通した自分についての気付きや自身への理解を深める。
- 自分の生き方や方向性を確認して自信に繋げる。
- アートを通した安全な形での感情の解放と確認。表現活動を通した癒しと回復、又はリラクゼーションとストレスの軽減。
- グループとしての繋がり、励ましの言葉、コミュニケーションと融和性の促進。
アートセラピー グループ進行
時間 90分
- 準備・自己紹介(ウオームアップ) 15分、アート制作45分、シェア20分、片付け・終了10分
- 毎週から隔週 6~10名以内が理想
RDデイケアセンターでは月に1回の実施から始めます。 - フィードバック・フォローアップに関しては必要に応じて、グループ後行う、また次回のグループ開始時に前回のグループに関してのフィードバックをグループとして行うことも可能
アート画材
画用紙、色画用紙、色鉛筆、キャンパスボード、マーカー、クレヨン、パステル、絵の具(水彩・アクリル)、粘土、コラージュ用雑誌・イメージ画、ハサミ、グルースティック、テープ、ホチキス
その他備品
- 画材はグループ参加者のコントロールやストラクチャーの必要に合わせて選ぶ。
アートセラピーグループの意義
繋がり:他の人々がいる中でのアート制作は、孤立や孤独を防ぎ、グループとしての繋がり、コミュニケーションと融和性の促進、仲間意識や共同体の意識を高める。
安全:安全な場としてのグループは、作品作りにおいて自ら決定して行うことを促進する作用がある。
安心:他の人と共にアート制作に取り組む事は、時として安心して痛みや怖れなど、難しいであろう感情を表すために役に立つ。
希望:グループとして各々、または共同で創作に取り組むことは、楽しく快い経験をもたらし、希望につながる。
象徴化:グループを通しての作品作りは、対人関係に対しての思いを象徴的に作品を通して表現する機会をもたらす。例:共同画、場の共有。
コミュニケーション:アート制作または作品を通して、言葉に頼らないでコミュニケートすることができる。
分かち合い:グループメンバーが作品を通してその場で語ることがなくても、視覚的な分かち合いの経験をすることができる。
エンパワー・勇気付け:他の人と共にアート制作に取り組む事は、個人とお互いをエンパワーする機会を提供しお互いの肯定的な関心や配慮を促進する。
アートセラピー グループ種類
- テーマ別 グループ:テーマについての作品造り、例えば、リカバリーフォーカス・回復に関するテーマ、今日の気分、過去・現在・未来、曼荼羅画など。
- オープンスタジオ グループ:各々が自由に作品に取り組む
- 共同画 グループ:共同作業を通して人間関係バウンダリー・間の取り方、各々の部分を合わせて共同画を制作。
テーマ別 グループ
目的 このグループは安全な場で、テーマに沿った課題が紹介され、主に自己発見や気づきを促すためのグループです。毎回グループでは課題又はテーマが紹介されます、グループ内でメンバー同士の問題を共有することによって共感や連帯を促します。グループメンバーはアート作品についての分かち合いをすることによって各々が抱える問題への新たな気づきや、気持ち・感情、葛藤などを共有するようにつとめます。
説明 テーマや課題に沿ったアート作品を作ることで、集中しやすく又意識をもって客観的に自信の問題に取り組むことができるよう促す。グループメンバーには順番に自身の作品についてシェアする機会が提供されます。
オープンスタジオ グループ
目的 アートつくりを通して、自己表現と自己探求を促進するためのグループ。非言語による表現、余暇の過ごし方としてのアートの紹介や創作活動を通した自己実現の機会。他のグループメンバーと場を共有することによってより良い人間関係を造る場としてのグループの役割など。
説明 各々のメンバーが個人のペースで作品に取り組む。ほかのグループメンバーやアートセラピストと作品に関したシェアを行う。
共同画 グループ
目的 参加者の社会性・協調性を高め、グループメンバー間での問題解決や自尊心の向上を助長する。グループ活動はバウンダリーの尊重、相手に耳を傾けること、考えの分かち合いや交渉、グループとしての結束を促進する。
説明 グループ参加者は共同画制作を通して、意見の交換、交渉、協力や妥協を通し、グループとしての合意に達することを学ぶ。グループのメンバーは共同画の趣旨・テーマから始まり、作業の進行、全体的なデザインの準備から共同画のアウトラインの制作などに取り組む。各メンバーは任務を振り分けられ、意見を交換しながら共同画制作に励む。
グループテーマ例
- 自己紹介としてのウオームアップ
例えば;イニシャル(英字・ひらがな・漢字)から連想できる”これが私です、私の好きなところ、私を表す形や色、今日の私の気分“など。 - アートで見つけるバランス・マンダラ画制作
対極、例えば“光と影”など二つの局面を描くことからイメージづくりをはじめましょう。自分の両極(矛盾や葛藤)を自ずと統合するプロセスをイメージしてみましょう。イメージは具体的でなく、色や形でもいいです。 - あなたがインスパイヤされるもの
あなたのモチベーションを維持するためにも、自分が好むものを描いてみましょう。それらは、好きな趣味、自分にとって大切な人、12ステップで尊敬できる人などまたはハイヤーパワーなど。 - ポジティブでいるために
自分が共感できる肯定的な言葉、引用や文章などを中心に作品創作してみましょう。作品を通して貴方にとって意味があり前進できるような作品を作ってみましょう。 - 私にとっての幸せとは
私にとっての幸せを表す、色や形、イメージを描いてみる。 - 自分の好きなところ
画材を使って自分の好きなところを象徴するイメージを表現してみる。