応援の声 垣渕洋一 先生

垣渕洋一 先生
成増厚生病院 副院長、東京アルコール医療総合センター長

ホームページ・リニューアル、おめでとうございます。

 貴センターの発足当初から、休職中の会社員など、プログラムに専念できる期間が限られている方を中心に、当センターの卒業生を、繋がせていただき、多くの回復者を輩出していただきました。深く御礼を申し上げます。

 私と12のステップとの出会いは2004年、依存症臨床に飛び込んで2年目の時でした。ジャパンマック主催のアメリカ研修ツアーに参加し、ヘーゼルデンやドーン・ファームといった施設を見学しAAにも出ました。自然豊かで広大な敷地の環境に驚き、緻密に組まれたプログラムに感銘を受けました。同行した日本の回復者の方々を含め、ソーバーの長い人と交流するのも初めてで、回復者のモデルを知った忘れられない経験です。以来16年、12のステップによって大勢の回復した方に出会ってきました。

 断酒を始めたばかりの頃は、「断酒さえすれば自分は大丈夫だ。なんでもできる」と思い込みがちです。しかし、事実としては、大量飲酒は原因ではなく、むしろ結果です。生きていく上で欠かせない経験や技術が乏しく、人生の方向性を見失っていたことが問題であり原因です。その結果、生きるために大量のアルコールが必要だったのです。だから、断酒をしただけでは、どうやって生きていけば良いのかわからず、途方に暮れる人が多いのです。

 だから、断酒を開始してから、なるべく早い時期にステップに取り組んで方が良いのですが、私が、依存症臨床に飛び込んだ頃、「ステップで棚卸をすると、心が揺れて、飲酒の危険があるから、断酒が十分安定してから、ステップを踏んでいくべきだ」といった話をよく聞きました。

疑問に思いつつも、経験が浅いので、反論ができなかったことを今も覚えています。

 なので、リカバリー・ダイナミクスを知った時は、「これは凄いものだ」と感銘を受けました。断酒開始の早期から、短期間で、問題を知り、解決策を知り、行動して結果を得るまでの過程を、従来のプログラムに比べて飛躍的に短期間で行え、回復率も高いことには、大きな価値があります。このプログラムを必要としている方達が、一人でも多く利用していただきたいと思います。

 最後に、私がステップの中で一番好きな部分を引用して締めくくらせていただきます。

 「11、祈りと黙想を通して、自分なりに理解した神との意識的な触れ合いを深め、神の意志を知ることと、それを実践する力だけを求めた」  神の意志を察知して、実践し、一層、多くの回復者を輩出されますことを祈念しております。

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