ニューズレター vol.59 2026年5月号

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毎月発刊しているニューズレターの最新号を掲載しました。

こちらよりPDFで閲覧が可能です。修了生の体験談や施設の近況等、ぜひご一読ください。


体験談「かつてどのようで 何が起こり 今どのようか」 修了生 アルコール依存症 Y・Kさん

私は薬物依存症者のゲイ男性です。

私が中学生にあがるまでの家庭環境は、父が同じセクシャルマイノリティ(バイセクシャル男
性)で、当時、別の男性の愛人がいたためにほぼ家には帰ってこない時期があったり、度重なる目
を覆いたくなるほどの激しい両親の喧嘩があったり、父の浪費癖から多額の借金ができてしまっ
たり、養育費がもらえないなどの不満を四六時中、母がヒステリックに喚き散らしていたり、離
婚騒動があったりなど、私が子どもらしく自由に自分のことを表現できるような場ではありませ
んでした。そのことが、中学校1年の時の引っ越しに伴う転校先での不登校の問題につながった
のではないかと思います。

そんな中、中学1年生の期末試験の成績が良かったことを、父が褒めてくれたことがありまし
た。父に受け入れてもらえたことがとてもうれしく、私の価値は勉強しかないとそこから一生懸
命に勉強に励むようになりました。ただ、高校3年のときの大学受験に失敗したときに「私は勉
強しか価値がないのになぜ失敗したのか」と強く自分を責めるようになり、一度思い余って大量
の市販薬を服用することで自殺を図ったこともありました。すでにこのときに「ありのままの自
分で人とつながることができない」という私の生きづらさが表れていたのだと思います。

高校卒業から4年後、夜間の大学で法律を学びはじめますが、私はやはりここでも「良い成績
を修める」ことが人生におけるもっとも大事なこと、という強迫的で誤ったプライドをもったま
ま突き進んでいきます。当時、私はそんな生きづらさに気づけず、ネットで知り合った不特定多
数のゲイ男性たちと刹那的な肉体関係をもつことでなんとか自分を保たせていました。しかし、
もっと刺激がほしいと、ついに覚せい剤を持っている男性と知り合い、初めての覚せい剤体験を
することになるのです。

初めて覚せい剤を使用したときは肉体関係における興奮剤として使っているのだと当時の私
は思っていましたが、今思えば、自分自身に対する恨み(自己れんびん)と本当の自分が知られ
ることで疎外されるという恐れからの絶対的解放感を感じたのだと思います。

最初に覚せい剤を使用してからすぐに専門の精神科クリニックを受診し、NA にも行ってみま
したが、完全にやめることができず、機会使用から連続使用になるまでの期間は短かったように
思います。社会に出る自信がないこともあり、大学卒業後は、周囲の人から一目置かれる「先生」
と呼ばれる職に就くため司法試験合格を目指し法科大学院へ進学。しかし、再使用となってしま
いました。当時の私は、昼間は大学院で法律の勉強をしながら、夜などの時間をつかって男性相
手に体を売る風俗の仕事をしていましたが、肉体関係が覚せい剤の再使用のトリガーとなったの
だと思います。

このままでは逮捕されてしまい、司法試験どころではなくなってしまうと思い、地方のダルク
に1年入寮しクリーンをつくりましたが、東京に戻るとあっという間に再使用となってしまいま
した。それからというものの、薬物が止まればすぐに仕事をはじめ時々NA に通う、といった生
活をするも1年のクリーンを迎えるとまた再使用に至る流れを繰り返していました。
そんな折、去年の春に薬物の過剰摂取が原因で、左足ひざ下に大きな手術跡が残るほどの「壊
死性筋膜炎」という重い病気にかかり約1か月半の入院。さらに退院後1か月ほどしてから人生
で初めて覚せい剤使用により逮捕されました。

かつて一度は「先生」と呼ばれるような立派な仕事に就くことを目指して奮起したこともある
この私が薬物の前に自分の力だけではどうにもできないと思い知る経験になりました。留置所の
中で初めて、母がクリスチャンである影響もあって、神様に対して「必要なことは全て起こして
ください。全て受け入れます。」と祈ったことを今でも思い出せます。

運良く不起訴釈放となったのち、NAのホームグループの仲間の配慮によりRDデイケアセン
ターにつなげてもらうことができました。繋がった当初は、担当の職員と信頼関係をうまく築け
ず、困ったことや不安なことがあればすぐに相談するということをこれまでの人生でしてこなか
ったために何度も失敗をしてしまいましたが、そのたびにありのままの私を受け入れてくれたよ
うに思います。さらに、セミナーの出しものなどのグループプログラムを通じて完璧主義という
私の欠点を仲間にぶつけてしまったときも、仲間はそんな私でも許してくれました。

また、担当職員との12ステップの個人セッションの中で、初めて人生の棚卸しを書いて、担当
職員に見てもらった経験は、ありのままの自分を見せることで、自己憐憫や恐れなどの自己中心
性という自分の生きづらさの正体を見ることができたように感じました。ずっと抱えていた両親
に対する幼少期のどうしようもなかった恨みから解放されたのもこの棚卸しを通じてでした。ま
た埋め合わせでは、聴覚障害の母に手話を使って対面で埋め合わせの言葉を伝えましたが、薬物
を使って何度も母を悲しませ傷つけるだけの自分という罪悪感のイメージを払拭することがで
きました。

今、私は、仲間や職員の皆様に毎日暖かく支えてもらいながら、12ステップを通じて、薬物を
必要としない人生を本当に手にできると思える経験を日々させてもらえています。仲間たちとハ
イヤーパワーに心から感謝しています。


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